1.適応障害、休職と、止まってしまった時間
数年前までの私は、管理職としてただひたすらに走り続けてきました。もともと仕事が生きがいだったわけではありませんが、思いがけず任された大役。その期待に応えよう、責任を果たそうと、必死に自分に言い聞かせてきました。
管理職2年目の時、上司との関係で心がボロボロになり、限界を迎えました。「地元に戻れば良くなるはず」と再雇用で環境を変えましたが、不眠や吐き気が続き、診断されたのは「適応障害」。そして、休職。
積み上げてきたキャリアが手からこぼれ落ち、奈落の底に突き落とされたような感覚でした。「もう自分には何もない」「社会に必要とされていない」……。これからどうなるんだろうと、不安と焦りばかりの毎日でした。
2.救ってくれたのは「学び」たいという気持ち
3ヶ月のリワークプログラムを経て、1年ぶりに復職。任されたのは以前のようなバリバリの仕事ではなく、簡単な事務作業でした。でも、「定時に帰れる」ということが今の私には救いでした。
「会社にやりがいを求めない!」
と心境が変化したことで、気持ちにも体力にも、少しずつ余裕が生まれてきました。
余裕ができると、不思議と「欲」も出てくるものです。
そんな私を、暗闇から地上に引き戻してくれたのは、皮肉にも「勉強」でした。 まずは自分を見つめ直すためのキャリアコンサルタント。私の経験を同じ悩みを持つ人に活かせないか?という想い。そしてFP3級の取得。
さらに今は、かつて失敗した経験がある行政書士試験に再挑戦しています。忙しさに邪魔されず、自分のために学べる幸せを、今ひしひしと味わっています。
3.春から、通信制の大学生に!
そしてこの春、ずっと心に秘めていた「歴史を体系的に学びたい」という願いが一つ形になりました。通信制ではありますが、憧れていた私立大学に合格。4月から大学生として歩み出します。
実は私、かつて自分のわがままから大学を中退しています。心のどこかでずっと「いつか、もう一度」という思いが消えずに残っていました。 今回の合格は、単に「再び」大学生になるというより、あの時置いてきてしまった夢を、60を過ぎた今の私が迎えに行った……
そんな特別な感覚です。
4.往復3時間の「学びの旅」
私が暮らしているのは、古墳や寺院が日常の風景に溶け込む、歴史の息吹を感じる静かな町です。明日からもまた、乗り換え3回、往復3時間の通勤が始まります。
眠気と戦いながら、少しずつ行政書士の試験勉強を進める毎日。以前の私なら「3時間も無駄な時間がある」と嘆いていたかもしれません。でも今は違う。 この時間は、私が私を取り戻すための、大切な「努力の場」であり、とても有意義な時間なのです。
5.人生に「遅すぎる」はない
ようやく、中退という経験も、適応障害という苦しみも、すべては今の私に繋がるための大切なピースだったのだと思えるようになりました。
60代。世間では定年を迎え、守りに入る年齢かもしれません。
けれど私は、
自分が自分らしく、夢を追っていきたい。できないこともあるけれど、できることにはどんどん挑戦したい。
もし今、何かに絶望し、立ち止まっている方がいたら伝えたいです。
「人生の時計の針は、いつからでも、何度でも、自分の手で動かし始めることができる」
ということを。

